屋上とホットケーキ。

本誌インタビュー People Get Ready 完全版 vol.2 後編/株式会社ティーエフエル 武山匡哉

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東海地区で「timeforlivin'」「shop Be-SHARE!」「parkLiFE」の
3つのアパレルショップを経営する武山匡哉さん。
そのお店の雰囲気やご自身のブログからは、溢れ出る日々の充実感やエネルギーが伝わってきます。
そこで今回は、武山さんが過ごされているであろう『自由で楽しく充実した屋上的(強引)な日々』を
おくるための秘訣をぜひともお聞きしたい!
その一心で、T.F.L本社ビルまで押しかけていろいろとお聞きしてきました。
その後編はじまります!





「(笑)。あと、今って、欲しい服がボタン一つで簡単に買えますよね。ウチもネットショップはやっていますが、やっぱり直接お店に買いに来て欲しいって気持ちがあるんですよ。お客さん達との会話がないのは寂しいですよね。なんか、服を写真とサイズだけで買っていただくってのはちょっとね……だって、同じ商品でもサイズによって着た時の印象が全然変わってくるじゃないですか。簡単に言えば、Tシャツでも少しタイト目に着ればパンクっぽく見えるし、大きめに着ればヒップホップっぽく見えてきたり。」

a0163747_056947.jpg―確かに僕も、昔からずっとはいてるデニムが同じ物なのに買うサイズがだんだん変わってきました。それは、体系の変化もありますが着方の好みが変わってきたからだと思うんです。こういう感覚は実際に試着してみないと分からないですもんね。

「そうですよね。だから、実際にお店にきてもらって、色んな服や着方を提案したいですね。例えば、普段は無難な色しか着ないようなお客さんに、こんな色の服も似合うと思いますよって提案して、買っていただけたとするじゃないですか。それで、お客さんがその服を着た時になんかいつもと気分が違うな。ちょっと気分が上がるなって感じてもらえたら、すごくうれしいですね。なんか、お客さんのライフクオリティを上げるお手伝いが出来た気がして。もちろん、押し売りは厳禁ですけど。やっぱり、こういうお客さんとのやりとりは大事にしていきたいですね。そうやって、仕事の面においても、お客さんと少しでも信頼関係を築いて繋がっていきたいです。だから、スタッフの子には服を売って終わりの接客はしないようにってよく言ってます。」

―実際、お店の人が親身になって色々と提案してくれるのはお客の立場からするとうれしいです。そういうお店にはまた行きたいって思いますもん。そういえば、僕のタンスの中は灰色の服ばっかりです。よかったら今度、相談にのってください(笑)。

「じゃ今度、お店に遊びにきてくださいよ! あっ、それと少し話が変わりますが、最近は好奇心を持って、毎日を丁寧に過ごそうって思ってます。日々の変化を楽しむというか。」

―日々の変化ですか?

「はい、例えば、道ばたの草木とか見てて、もうすぐ花が咲きそうだなとか、今だったらもうすぐ紫陽花の季節だなっとか。なんか、良くないですか? 季節を感じながら日々を過ごすって。心に余裕が持てる気がして。

―心に余裕…いい響きです。

「季節を感じると言えば、ちょっと前に、近所の和菓子屋さんで菜の花を模したおまんじゅうを買おうと思ったんですよ。でも、並んでるおまんじゅうの花と葉っぱのバランスが何か変だったんですよ。葉っぱ部分がすごく多くて。で、お店のおじいちゃんにもっと花の部分の多いやつは無いですか?って聞いたら、おじいちゃんが『おにいちゃん、まだまだだね。だって菜の花は、まだ咲いてないでしょ。だから、このおまんじゅうの菜の花もまだ蕾なんだよ。花の咲いたやつが欲しかったら、その時期にまたおいで』って言われたんです。衝撃的でしたね。確かにその時は2月で、まだ菜の花は咲いていなかったんですよ。昔の人はそうやって和菓子からも季節の変化を感じていたんですって。なんか粋ですよね。」

―和菓子には、単純に味や見た目を楽しむってだけじゃなくて、そういう楽しみ方もあるんですか、初めて知りました。そのおじいちゃんは職人なんですけど、なんかアーティストみたいですね。

「ただ、そういう表現をする和菓子屋さんは少なくなってきているみたいですけどね。で、その話を聞いた時は、帰ってからすぐスタッフの子達にこの話をしました。こんな風に季節の変化をもっと敏感に感じ取りながら、服も提案していこうって。同じ服でも、時期によって着方は変わってきますからね。」

―なるほど、確かに、温かい時期に冬用のジャケットをすすめられても、ピンとこないですもんね。現実的に考えれなくて…あと、すみません話がちょっと前後してしまうんですけど、アパレルショップを始められたきっかけってなんだったんですか?

a0163747_0572888.jpg「きっかけですか? そうですね、さっき話してたバックパックでの一人旅の途中、サインディエゴの大学に入学したり、就職したりして結局、そこに2年半ほど住んでたんですよ。」

―旅の途中に大学に入学する事って出来るんですね。しかも外国の(笑)。

「まぁ、そんな感じで過ごしたアメリカから帰る時に、残ってたお金を全部使って、スニーカーを買って帰ったんです。もともとスニーカーや古着は大好きだったんで。で、買ってきた物をフリーマーケットで売ったんですよ。それがすごく楽しくて。それで、日本に帰ってから、大学に復学して卒業するまでの間は、月一でアメリカに買い付けに行ってはフリーマーケットで売るという生活をずっとしていました。それがアパレル業に入るきっかけですかね。」

―すごい学生生活ですね!

「それで、卒業後に本格的に店舗を持ちたいなと思っていた時に、運良く知り合いの方に協力してもらう事が出来て「the S.O.B clothing store」ってお店を開いたんです。これがT.F.Lの始まりですね」

―やっぱり人との繋がりが大事なんですね(笑)。

「そうですね(笑)。それに、そのお店に遊びに来てくれてた大学の後輩が、今の経営パートナーですしね。そういう人との繋がりだったり、まわりの人おかげで今の自分があるんだって本当に思います。だから、自分さえ良ければそれでいいって考え方はもう古くて、これからは共存共栄の時代だとすごく思います。実はそんな思いがあって「栄4~5丁目散歩廻」って集まりを作ったんですよ。これは栄4~5丁目エリアの同業種やカフェやクラブとか色々な経営者の人と協力してこのエリアを盛り上げていこう!みんなでこのエリアに来てくれた人をおもてなししよう!って集まりなんです。そうやって共存共栄を目標に、お互いに協力しながら毎日を過ごしていければって思いますね。」

―共存共栄!すごく良い言葉だと思います。なんか、今日はいろいろなお話を聞いて、人と繋がっていく事が日々の充実に繋がっていくのかなって、すごく感じました。そのためにはパワーがいるってことも。では、最後の質問になるんですけどこの屋上では普段どうやって過ごしてるんですか?

頻繁に何かやるって事はないですけど、今日みたいに天気のいい日は休憩がてら、よくお茶とかしてますね。本当はハンモックとかある良いんですけどね。

―ハンモック!すごくいいと思います。

ただ、ハンモックがあると仕事ができなくなりそうで怖いです…」

―確かに(笑)。気持ち良さそうですもんね!今日は、色々な話を聞かせていただいて、本当にありがとうございました。本当に為になりました!

「いえいえ、こちらこそありがとうございました。こんな感じでインタビューの方は大丈夫ですか? 一方的にしゃべっちゃいましたけど(笑)」


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インタビューを終え、武山さんからの粋なはからいで出してもらった気持ちのいい「屋上コーヒー」をいただきながら『ここ数年、新たな人との出会いってホントに数えるほどしかないな』と思い、少し切なくなった…。考えてみると昔は、今より積極的に自分から外に出て、たくさんの人たちと会っていたし、毎日が充実していた気もする。もちろん、今の生活も充実しているし、恥ずかしながら家族と過ごすことに幸せを感じている。でも、なんでこんな風に感じてしまうんだろう?
 
きっと、1番の原因は、武山さんがズバリ言われていた、気付かないうちに自分の安心できる殻の中で、単調な毎日を過ごすようになってしまったからだろう。確かに毎日が忙しいし、そう過ごす方が楽だ。別にそれが悪いことだとは思わないけど、物足りなさを感じているのも事実……。その物足りなさを埋める方法の一つがきっと『自分から外に出て行くこと』で、そうすることで新たな交友関係ができ、楽しい毎日に繋がっていくんだと、今回のインタビューを終えて感じた。

実際に、インタビューをさせていただいた(外に出た)ことで、武山さんとお知り合いになれたし、色々な刺激を受けることができた。しかも、武山さんのお友達のアーティスト・都築さん(武山さんの隣にいる方が都築さんです)とも武山さんを通じてお知り合いになれて、すごくうれしかったし、充実した1日だった。

だからもし、僕と同じように単調な毎日を過ごし『なにか物足りない』とくすぶっている人が、読者の方の中にいるのなら、今よりもちょっとだけ、頑張って、面倒くさがらずに自分から一歩でも外に出ていってみませんか? その一歩が、今よりも楽しく充実した毎日繋がっていくのだと僕は今、思っています。

なんてなっ(和久さん風)


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by okujotosora | 2010-07-07 23:55