屋上とホットケーキ。

本誌インタビュー People Get Ready 完全版 vol.4 前編/ウォールペイントアーティスト 都築浩孝

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突然ですが『どうやってあんな高い所に描いたんだ?』って思えるグラフィティを、街で見かけたことありませんか?
実はあれがちょっと気になるんです!なんとなく屋上っぽいし、芸術の秋だし(笑)。
ということで、今回はストリートアート・グラフィティに影響を受け、
現在ウォールペイントアーティストとして活動する都築浩孝さんに、色々とお話を聞いてきました。
しかも、僕の下心を察知していただけたのか、
なんと“秘密の屋上”でライブペイントまでしていただいちゃいました(嬉)!





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―それにしても凄い屋上ですね!
 日本じゃないみたいです(笑)。よく来られるんですか?


都築さん(以下:都):「そうっすね。ここは知り合いのビルなんですけど、よく仲間と来て色々やってますね。
スケボーする奴がいたり、ひたすら喋ってる奴がいたり。
もちろん絵を描いてる奴もいます。あとはバーベQなんかもしますね。」

―うらやましい!僕の理想の屋上ライフに近いかも(笑)。
 ちなみに、屋上に対するイメージって何かありますか?


都:「うーん、隠れ家みたいなイメージですかね。秘密のことが出来る場所というか。」

ーまさにこの屋上ですね!では、少し話を変えてひとつ教えて下さい。
 よく建物の高い所に描いてあるグラフィティを見かけるんですが、やっぱり高い所に描く理由が何かあるんですか?


a0163747_9475682.jpg都:「理由というか高い所に描くのは“ルーフトップ”という、グラフィティのスタイルのひとつなんです。」

―ルーフトップ!? 屋上…ですよね?
 俄然、興味が湧いてきました。具体的にはどういったスタイルなんですか?


都:「屋上で何か描くってワケではなく、簡単に言うと
『高くて目立つ所に描くことで自分をアピールするスタイル』ですね。
単純に屋外看板のように目立つ場所に描くスタイルです。」

―なるほど…。屋上とは関係があるわけではないんですね…。でも、描くのが危なそうですね。

都:「描く場所によっては、ヘタすると落ちちゃうかもしれないですしね。
でも、アメリカの方では違う意味でもっと危ないんですよ。
ほとんどの奴が忍び込んで描くんで、住民に見つかるとズドンって撃たれちゃうこともあるみたいで…」

―銃社会ですもんね、怖いなぁ…。

都:「でも、このスタイルにはオイシいパターンがあるんですよ!」

―オイシいパターン?

都:「はい、たまたま描いたビルの隣のビルが、取り壊されてしまうパターンです。
ビルが取り壊されると、隠れていたグラフィティがいきなり登場する感じです。」

―なるほど! それメチャクチャ目立ちますね。
 しかも、隣のビルが壊された事を知らない人から見たら『どうやって描いたんだ?』ってなるし!
 確かにオイシいパターンですね。


a0163747_9482978.jpg都:「そう、だから解体されるビルの情報を探してる奴もいる。
で、情報をつかんだら、そのビルを使って隣のビルに描くみたいな(笑)。」

―オイシいパターン狙いで(笑)。

都:「しかも、解体されるビルの壁を壊して隣のビルに描く奴もいるらしいです。」

―ムチャクチャですね、それ!
 ちなみに都築さんは、高い所に描いた経験ってありますか?


都:「仕事上、描くことはありますがあまり気が進みません…高所恐怖症なんで(笑)。」

―(笑)。他にも、グラフィティには、いろんなスタイルがあるんですか?

都:そうですね。有名なものでいえば、ニューヨークの地下鉄に描くスタイルがありますね。
このスタイルでは編目のように走る地下鉄を“血管”、そこを走り回る電車を“血液”と考えているんです。
で、血液である列車に描くことで『オレの毒をいろんな所にバラまいてやる』という意味を込めて、自分をアピールするんです。
このスタイルはニューヨークに多いですね。あそこは地下鉄社会なんで。」

―深い意味があるんですね、驚きました。確かに電車に描けば、市内のいろんな場所でアピールできますね。
 ちなみにKAWSも地下鉄に描いていたんですか? 彼って確かニューヨーク出身ですよね?


都:「彼はビルボードに描くスタイルですね。屋外看板やバス停のポスター抜き取って、家で描いてまた元の場所に戻す感じです。
ポスターのデザインに自分のグラフィティをうまくとけ込ませたスタイルで、凄く有名になりましたよね。
ビルボードに描かせたら彼は天才だと思います。ちなみに、昔ディズニーアニメの制作会社で働いていたらしいですよ。」

―そうなんですね!知らなかったです。
 でも、KAWSってボクでも顔を知っているくらい、有名な人だと思うんですけど、やってる事からするとよく捕まらないですね?


都:「彼のグラフィティは、もうアートですからね。今では、逆に企業から描いてくれって頼まれる状況ですし。
アートとして世間に認められれば大丈夫なんじゃないですか(笑)。」

―そういえばサザビーズのオークションでBanksyの作品がかなりの額で落札されてましたよね。
 彼もまさに『アートとして世間に認められれば大丈夫』の人ですね。


都:「そうですね。彼は有名な美術館に自分の作品を勝手に展示したり、おもしろい事をやってますよね!
グラフィティに関していえば、彼は“ステンシル”ってスタイルなんですけど、昔は普通にスプレーで描いてましたね。
そういえば、有名になった途端に、彼が昔描いた作品を『消すのをやめよう』『いや、消すべきだ』みたいな議論がでてきましたよね。
彼が有名になる前は、平気で彼の作品も消していたのに。」

―なんか、モヤモヤしますねその話…現金というか(笑)。
 では、インタビューの方はここで一区切りという事で、ここからは実際にライブペイントをしていただきながら、
 もう少しだけお話を聞かせてもらってもよろしいですか?


都:「いいですよ。ただ、描く前に一応言っておきますが、所有者の許可なく描いちゃダメですよ!」

―了解しました(笑)。そして後編に続きます。



a0163747_18114957.jpg都築 浩孝 ツヅキ ヒロタカ / ウォールペイントアーティスト
1973年10月20日生まれ、西三河出身。1993年より今のスタイルでもあるスプレーによるウォールアートを始める。中学の頃から強く影響をうけたスケートボード、ホラームービーを軸に今までに無いウォールアートのスタイルを確立する。
1995年より自らのブランド、NOCAREをスタート。現在NOCARE、Easterと2つのブランドのデザイナーをしながら栄五丁目にあるエイトギャラリーの代表としての顔も持ち所属アーティストのキュレーターも勤める。2010年よりEarly Design Company としてデザインチームを結成。ウェアブランドのデザイン、店舗内装、エキシビションのブッキング等をこなしている。
www.bodycount133.com
by okujotosora | 2010-10-13 11:55